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『カラフル』感想|この本がくれる「見方を変える力」とは?【森絵都】

目次

1. はじめに

森絵都さんの名作『カラフル』

あたたかな成長物語として知られるこの作品を、大人になって読み返してみたら、「自分をゆるす」という視点が静かに胸に残りました。ネタバレなしで、やさしく感想をまとめています。

ハリー

かの~、今日読む本は?

かの

森絵都さんの『カラフル』だよ。

かの

もし、人生をもう一度やり直せたら、あなたは何を見つめ直しますか?

『カラフル』ってどんな本?

書籍情報

・書籍タイトル:カラフル
・著書:森 絵都さん
・出版社:講談社
・発売日:2011年11月12日
・ページ数:282ページ
・Audible:×

あらすじ(文春文庫より引用)

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」

生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。 自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。 ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。 学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。 絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。 ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変っていく。
モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくるーー。

こんな人におすすめ

こんな人におすすめ
  1. 自分のことを好きになれないと感じる人
  2. 家族や人間関係に少し疲れている人
  3. やさしく前を向きたい
かの

読みやすい文章とやさしい語り口のなかに、自分の心と静かに向き合うヒントが詰まっている本です。

心に残った言葉と気づき

「ホームステイだと思えばいいのです」

せいぜい数十年の人生です。少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい」

引用元:『カラフル』より

ハリー

え…ホームステイ?それって、ちょっと不思議な言い方だね

そうだね。でもね、”ちょっとだけの滞在”って思えると、
ずっと完璧じゃなくてもいいんだって、思えるよね。

「たった一色だと思っていたものが、よく見るとじつにいろんな色を秘めていた」

黒もあれば白もある。赤も青も黄色もある。明るい色も暗い色も。角度次第ではどんな色だって見えてくる」

引用元:『カラフル』より

ハリー

じゃあ、ぼくにも”青”とか”オレンジ”とかあるのかな?

かの

あるよ、きっと。見方を変えたら、もっと見えてくる色があるんだよ。

「自分で自分を傷つけないで」

ハリー

なんで、みんな自分にだけ厳しくなるのかな

かの

たぶん、頑張ってきた人ほど、”もっとちゃんとしなきゃ”って思ってしまうかもね。

読み終えたあとに感じたこと

一度読んだ本でも、時間が経ってから読み返すと、
まったく違う印象を受けることがあります。

森絵都さんの『カラフル』は、まさにその一冊でした。

以前は「やさしく、あたたかい再生の物語」だと思っていました。
でも今は、この物語が描いていたのは、”再挑戦”ではなく“再解釈”だったのだと感じています。

世界は変わらなくても、自分の視点が変われば、
見えてくるものも、感じ方もまるで違ってくる。

見えている言葉や態度の奥に目を向けてみると、
「加害」や「被害」だけでは語りきれない、
その人なりの事情や思いが浮かび上がってきます。

そしてそれは、自分自身のことを見つめ直すときにも、
きっと同じことが言えるのだと思います。

「自分には何もない」と思っていた真が、
少しずつ、自分の中にあったに気づいていく――

その過程は、まるで“見方を少し変えるだけで、自分を立て直していける”っていう、
心のリハビリみたいにも感じました。

大きく変わらなくてもいい
見方が変われば、自分のことも、少しずつ好きになっていける。
この物語は、その小さなはじまりを、そっと教えてくれる気がします。

『カラフル』がくれるー3つのことー

1. 見えなかった気持ちに気づく力

ひとの言葉や態度の奥にある思いや、
自分の中で見ないようにしていた感情。
その存在に気づこうとするまなざしが、この本には描かれています。

2. 自分をゆるす視点

完璧じゃなくていい
立ち止まっても、寄り道してもいい。
“ホームステイ中”のわたしたちは、もう少しやさしく自分に接していいのかもしれません。

3. 世界はカラフルだという実感

人にも、自分にも、いろんな面がある。
角度や光の当たり方によって、その色は変わって見える。
白でも黒でもなく、“カラフル”だという視点が、生きることをちょっとやわらかくしてくれます。

さいごに

かの

この本が、少しでもあなたの色を取り戻すきっかけになりますように。

ハリー

ぼく、つぎの本も楽しみになってきたよ!

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