はじめに |心の「治したいところ」にやさしく手を添えてくれる物語

ねえ、かの
最近読んだ本で心に残ったものってある?



『リカバリー・カバヒコ』っていう本がね
そっと心をなでてくれるような優しい物語だったよ。
2024年に本屋大賞にもノミネートされた作品なんだ。
「うまくいかない自分を、どうにかしたい…」
「このままじゃいけないとわかっているけど、どうすればいいのかわからない…」
そんなふうに立ち止まっている人に、穏やかに寄り添ってくれる5つの物語だよ。
- 書籍タイトル: リカバリーカバヒコ
- 著書: 青山美智子さん
- 出版社: 宝島社
- 発売日: 2023年12月
- ページ数: 288ページ
- Audible: ○
あらすじと舞台設定
新築分譲マンション「アドヴァンス・ヒル」の近くにある、古びたカバの遊具“カバヒコ”。
そこには、「自分の治したい部分と同じ場所を触ると、よくなる」という都市伝説がありました。
人呼んで、”リカバリー・カバヒコ”。
この短編集では、そのカバヒコを中心に、5人の登場人物たちが自分の悩みや傷に向き合っていく様子が描かれます。
- 成績不振に悩む高校生
- ママ友になじめない元アパレル店員
- 駅伝が嫌で嘘をついた小学生
- ストレスから体調を崩し休職中の女性
- 母との関係がこじれたままの雑誌編集長
それぞれが、自分の“心のどこか”を治したくて、カバヒコに触れに行くのです。
『リカバリー・カバヒコ』はこんな人におすすめ
- なんだか心が疲れているなと感じている人
- 変わりたいのに動けない自分を責めてしまう人
- 誰かの優しさに触れて、少しだけ元気をもらいたい人



5人それぞれの物語に、きっとどこか「自分と重なる部分」が見つかるはずです。
心に残った言葉と気づき
「今の自分の気持ちだけを見つめてごらんよ」
先のことじゃなくて、誰かのことじゃなくて、 今の自分の気持ちだけを見つめてごらんよ。
引用元:『リカバリー・カバヒコ』より
飴でも舐めながらさ。
この言葉、ストンと胸に落ちてきました。
物事がうまくいかないときって、大事なことすら感じ取れないほど余裕がなくなってしまう。
「飴でも舐めながらさ」という一言のやさしさが、ふっと気持ちをほぐしてくれた気がします。
気持ちを整えるヒントって、案外そんな小さなことなのかもしれません。
「与えるだけじゃなくて、受け取ることも愛情なのよね」
与えるだけじゃなくて、受け取ることも愛情なのよね。相手を信頼して、ただ甘えるっていう。大人になればなるほど、そっちのほうが難しくなるんだけど。
引用元:『リカバリー・カバヒコ』より
誰かに何かをしてもらうことに、つい遠慮してしまう。
特に大人になると、「自立していなきゃ」「ちゃんとしていなきゃ」と思って、甘えるのが下手になる。
でもこの言葉を読んで、 “受け取ることもまた、つながりのかたち”なんだなと感じました。
「ぼくが、ぼくを決めていく」
ぼくが、ぼくを決めていく。 これから、ひとつずつ。
引用元:『リカバリー・カバヒコ』
この一文には、肩ひじを張らない強さがありました。
誰かの期待、誰かの目線ではなく、自分の意思で選んでいくという静かな覚悟。
迷いながらでも、自分の人生を少しずつ「取り戻していく」姿に、そっと背中を押されるようでした。
読み終えたあとに感じたこと
『リカバリー・カバヒコ』は、劇的な展開や派手な感動はないけれど、 ページをめくるごとに、心の奥に置きっぱなしにしていた本音や願いに気づかされるような物語でした。
カバヒコは、何も語らない無表情なカバの遊具。だけど、その無言の存在が、まるで鏡のように、自分の弱さや痛みを映してくるんです。
飾られていないからこそ、素直に向き合える。
心がふわっと軽くなる、静かであたたかな読書体験でした。

まとめ|『リカバリー・カバヒコ』がくれるもの
・「頑張らなくちゃ」ではなく、「自分のペースでいいんだ」と思える安心感
・「何かしなくちゃ」ではなく、「まずはやってみようかな」という前向きな気持ち
・「自分を決めるのは自分」という静かな自信



ぼくも読んでみたくなったな!



うん。読んだら感想をきかせてね。