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『菜根譚』感想|逆境に静かに効く、心の言葉たち【洪 自誠】

難しいと思っていたけど、読んだら心がすっと整っていった。今の時代にこそ響く処世の知恵

目次

書籍情報

・書籍タイトル:菜根譚

・著者:洪 自誠

・出版社:岩波文庫

・発売日:1975年1月16日

・ページ数:390ページ

・Audible:○

はじめに

「菜根」って、なんだか不思議なタイトルだなって思ったんです。
野菜の“根”? なんとなく、かたくて噛みごたえがありそう。

でも調べてみたら、“菜根”には「かたい野菜の根でも、じっくり噛みしめれば本当の味がわかる」という意味があるのだそう。
その由来にすっと心を掴まれて、ページを開いたのがはじまりでした。

本の背景と、今読む意味

『菜根譚』は、明代の儒・仏・道の教えを取り入れた、いわば「心の在り方のレシピ集」のような一冊。
乱世といわれる時代に書かれたこの書は、現代の私たちが直面する「迷い」や「疲れ」にも通じる処世の知恵に満ちています。

印象に残った言葉と、私の解釈

「地の穢れたるは、多く物を生じ、水の清めるは、常に魚無し」

かの

完璧じゃなくてもいい。不器用で混ざりもののある自分の方が、かえって豊かなのかもしれないね。

清らかで美しいものに“何もない”こともある。
ちょっとごちゃついてる場所にこそ、命が息づいている。
短所だと思っていたものが、実は自分の豊かさだったと気づかされました。

「我、人に功有るも、念うべからず。而るに、過たば即ち念わざるべからず」

ハリー

うれしいことって、すぐ忘れちゃうのに、失敗だけ覚えてたりするよね…

でもこの言葉はその逆。
人にした善は手放して、過ちはちゃんと受けとめよう」っていう、静かな潔さに背筋が伸びるようでした。

「世に処るには、一歩を譲るを高しとなす。歩を退くるは、即ち歩を進むるの張本なり。」

かの

強くなるって、“譲れない自分”を押し出すことじゃなくて、“譲れる余裕”を持つことかもしれないね。

言い返したくなるとき、立ち止まってこの言葉を思い出すだけで、自分の気持ちが整っていきます。

「伏すること久しき者は、飛ぶこと必ず高く、開くこと先なる者は、謝すること独り早し」

ハリー

はやく芽が出るって、ぜったい良いことだと思ってたけど…ちがうの?

かの

自分のペースで咲くことを、恐れなくていいんだよ。

地中にいる時間が長い分、きっと大きく咲ける。
この言葉は、立ち止まっている自分を責めそうになったときの“やさしい盾”になります。

読んでよかったこと

「難しいと思っていたけれど、実はとても静かで、あたたかい本でした。」

ひとつひとつの言葉に、時代や文化を越えて“人の心”が息づいています。
「どう生きようか」と迷ったとき、
「大丈夫かな」と不安になったとき、
この本の一節が、そっと灯りのように照らしてくれる気がしました。

こんな人におすすめ

  • 毎日がちょっとしんどいと感じている人
  • 人間関係に疲れてしまっている人
  • 急がず、ゆっくり自分を取り戻したい人
  • 難しそうな古典にも触れてみたいけど一歩踏み出せていない人

読後の変化

今のままでも大丈夫。
この一冊を読むことで、そんなふうに自分に向けて言える言葉が増えていく感じがありました。

声を上げなくても、表に出さなくても、
“心の中で踏みとどまれる”という強さに、そっと寄り添ってくれる一冊です。

まとめ

『菜根譚』は、逆境を生きるための「哲学のことば」ではなく、私たちの日常に寄り添う“生活のことば”でもあります。

かの

心がざわざわした時に、静かにページを開いてほしい。
たった一行でも、光になるから。

ハリー

ぼく、今日から“根っこ派”かも。ゆっくりでいいんだよね。



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