記事一覧
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ハリーとコットの冒険日記
第6話|パンくずの道【ハリーとコットの冒険日記】
ハリーは、あんバターサンドをそっとかかえて歩いていました。でも、ふくろのすきまから、パンくずがぽろぽろ。 「あっ……あれぇ……」あとをふりかえると、小さな道ができていました。 「……しっぱい、しちゃった……」 しょんぼりするハリーのところへ、コット... -
ハリーとコットの冒険日記
第5章|くもりの日の散歩【ハリーとコットの冒険日記】
空は、うすいグレー。おひさまは、どこかにかくれている。 ハリーは、玄関のまえで足をとめた。「今日は……うまく歩けない日かも」 コットは、くもの切れまを見上げて言った。「じゃあ今日は、“うまく歩く日”じゃなくて、“見つける日”にしよう」 ふたりはゆ... -
ハリーとコットの冒険日記
第4話|今日でよし、の日【ハリーとコットの冒険日記】
「……今日は、なんにもなかったかも」夜になって、ハリーがつぶやいた。 できなかったことを、ぽつぽつ思い出しては、また、しゅん。 するとコットが言った。「今日は、“今日でよし”にしよ~」 理由はとくにないけれど、ふたりは台所へ向かって、あたたかい... -
また、ここから
エピローグ いま、ここに
それから、ふたりは少しずつ、時間を紡いでいった。 特別な出来事はなくてもいい。ただ、笑ったり、ときどき黙り込んだりしながら、 あの日、静かに灯った小さな光を、ふたりで守り続けた。 記憶は、いつか戻るかもしれない。戻らないままかもしれない。 ... -
また、ここから
第5章 きみに贈る
今日は、どこか空の色まで、いつもと違って見えた。 図書館の窓から射し込む光は、いちだんとあたたかく、すべてを包み込むようだった。 ノアは、そこにいた。 かのが近づくと、ノアは、自然に顔を上げた。 それだけで、胸の奥がふっと満たされる。 もう、... -
また、ここから
第4章 ひとつの光
図書館に差しこむ光は、今日も変わらず、あたたかかった。 でも、かのには、それがいつもよりすこし、特別に思えた。 ノアも、そこにいた。 目が合った瞬間、小さな笑みが、自然にふたりのあいだに生まれた。 それだけで、胸の奥に、ぽっと、小さな灯りが... -
また、ここから
第3章 言葉にならない
図書館の扉を開けたとたん、なぜだか、胸の奥がふっと静かに満たされる気がした。 ノアは、もうそこにいる。そんな確信のようなものが、自然と胸に灯っていた。 かのは、何も言わずに席に向かう。ノアもまた、言葉をかけることはしなかった。 けれど、ふた... -
また、ここから
第2章 かすかな音
次に図書館の扉を開けたとき、空気のなかに、かすかに知っている匂いを感じた。光の射し方も、時計の音も、前と変わらないはずなのに、どこか、世界が少しだけ違って見えた。 ノアは、今日も奥の席に座っていた。かのを見つけると、ほんのわずかに、目元を... -
また、ここから
第1章 わたしを見つけてくれた人
大きな窓から、やわらかな光がこぼれていた。静かで、どこか時間の止まったような図書館。けれど、奥の壁にかかる古い大きな時計だけが、ゆっくりと、確かに時を刻んでいた。 かのは、そっと扉を押して、足を踏み入れる。胸の奥で、小さな音が鳴った気がし... -
暮らしと学びの本棚
心が軽くなる本まとめ|ヘッセ・ゲーテ・ニーチェのことば|ふっと深呼吸できる3冊の読書案内
心が重たいな、そんな日には長い小説よりも、短いことばに救われることがあります。たった一行の詩が、ふっと深呼吸を思い出させてくれる。そんな瞬間に寄り添ってくれるのが、詩人や思想家のことばです。 今回は、『ヘッセ詩集』『ゲーテ詩集』『ニーチェ...
