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第1話|はじまりの朝と、リュックの中身
朝焼けが、そっと町を起こすころ。
ハリーは、もぞもぞと目をさましました。
「うーん、ねむい……でも、今日はちょっとした冒険の日!」
いつもより少しだけ早く起きたハリーは、
お気に入りのリュックを背負って、玄関にちょこん。
そこへ、ふわふわの白い影が、のそ〜っとやってきました。
「おはよう、ハリー」
「おはよう、コット」
「今日はどこまで行こうか?」
「ええっと……パン屋さんまで、の予定だったような……」
「うん。それならリュックに地図、入れた?」
「うん! あと、おやつと……あれ?」
ハリーは、リュックの中をゴソゴソ。
出てきたのは——
・あんバターサンド(ちょっとつぶれてる)
・手紙(なぜ?)
・コットへのプレゼント(こっそり)
・ふたつめのあんバターサンド(予備)
・……地図、なし。
「……ねえ、コット。地図って、必要かな?」
「うーん。ハリーがいるなら、まあ、なくてもいいかも」
「えっ、ほんと? じゃあ行こっか!」
「うん。でも、地図はあとで買おうね」
「うんうん、あとでね!」
そうして、ふたりは朝焼けの町へ出発。
小さな足と、大きな足。
すこし寄り道するかもしれないけど——
まあ、それもまた冒険、ということで。
🌱きょうのひとこと:
「地図がなくても、行きたい気持ちがあれば、だいたい大丈夫。」