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手紙のぬくもりが届くとき『ツバキ文具店』が教えてくれたこと【小川 糸】

目次

書籍情報

書籍タイトル:ツバキ文具店

著者:小川 糸

出版社:幻冬舎

発売日:2016年4月

ページ数:288ページ

Audible:◯

あらすじ

鎌倉のひっそりとした裏路地にある「ツバキ文具店」。そこは、手紙の代筆を請け負う「代書屋」です。

代書屋の仕事を継ぐため、店を飛び出した過去を持つ鳩子(ぽっぽちゃん)がこの店に戻ってきます。亡き祖母から教わった代筆の技で、鳩子は様々な人々の心に寄り添い、手紙を紡ぎます。

亡き人への思い、伝えられない感謝、そして時に複雑な別れの言葉まで。手紙を通して人々の人生に触れるうち、言葉の温かさや、人とのつながりの大切さに気づいていく鳩子。

鎌倉の美しい四季の中で、温かいご近所さんたちとの交流を通し、鳩子自身の心も少しずつ癒やされていく、優しさに満ちた物語です。手紙が織りなす温かな人間模様に、きっと心癒やされるでしょう。

ノアのひとことメモ(読書の軸と視点)

この本のテーマは、「手紙」と「想いの橋渡し」。
代書屋という仕事を通して、依頼人の心に寄り添い、言葉を丁寧に紡いでいく主人公。
本書を読むと、“言葉の重み”と“手書きのぬくもり”を、あらためて感じたくなるでしょう。

視点のヒントは、「手紙は誰のものか」。
書き手のものでもあり、受け取り手のものでもあり…そして、その両方を支える“書き手代理人”の心にも注目です。

心に残ったことば

手紙は書く人の分身のようなものだから

ハリー

ねえ、かの。なんで手紙って、こんなに気持ちが伝わるのかな?

かの

うーん、たぶんね、言葉だけじゃなくて、“その人らしさ”が全部ににじんでるからだと思うの。
文字のかたち、便箋の選び方、書いたときの気持ち……
それが、全部でひとつの手紙なんだよ。

ハリー

そっかぁ。じゃあ、「手紙」って気持ちの贈り物なんだね。

依頼人の言葉遣いや面影、匂いまでも届けるように、言葉を整え、文体を選び、便箋・ペン・切手まで心をこめて準備する主人公。
“ただの伝達”ではなく、“想いの橋渡し”としての手紙の深さを感じました。

「あのね、心の中で、キラキラ、って言うの。キラキラ、キラキラってそれだけでいいの…」

かの

自分で世界を優しくできるって素敵だね。

ハリー

ぼくはどんな魔法の言葉にしようかな?

バーバラ婦人のこの言葉に癒されました。
心の暗闇に星が増えていくような、自分で自分を満たす魔法
ちょっと不思議で、チャーミングで、人生を自分の手で豊かにしていく…そんな“おとな”の姿に、いちばん惹かれました。

「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいんだって」

ノア

いま”を見つめると…過去には見えなかったものも、見つけられるかもしれないよね。

かの

うん、そうかもしれないね。

モリカゲさんのこの言葉には、救われる人も多いのでは。
後悔ややるせなさも抱いたまま、ちゃんと前を向いて生きていく主人公の姿に、静かに背中を押されました。

全体を通しての気づき

美しい鎌倉の四季とともに、さまざまな“手紙”が紡がれる物語。
伝えられるのは、別れ、感謝、再出発──
人生の節目にある、静かな感情たち。

でも、どんなに悲しい出来事でも、
手紙を通して触れたその後には、かならず“あたたかさ”が残る。

読んでいて、ふと気づく。
最近、ちゃんと文字を書いてなかったなって。
「手書き」って、いいな。
そして、手紙って、想像以上に心を届けるものなんだな。

久しぶりに、誰かに手紙を書いてみたくなった。
── そんな読後感でした。

こんな人におすすめ

・忙しくて癒されたいな、穏やかな気持ちになりたい人

・ささやかな日常の幸せを大切にしたい人

・鎌倉の美しい情景に触れてみたい人

・「手書きの魅力」を思い出したい人

さいごに

かの

ねえノア、「手紙」ってね、“想いの一番近くにある言葉”って気がしたの。
この本を読んでから、伝えたい気持ちがいっぱい浮かんできちゃって。

ノア

それは素敵な副作用だね。
文字を書く時間”は、きっと誰かの心にも残っていくと思うよ。
筆じゃなくても、スマホじゃなくても、心で書くような言葉ってあるから。

かの

うん。じゃあ今日、ひとつ手紙を書いてみるね。
未来の自分宛てっていうのも素敵だね。

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