竹林から届く、静かな声と光。
“だれかのやさしさ”は、気づかないところでめぐってる。
書籍情報
書籍タイトル:月の立つ林で
著者:青山美智子
出版社:ポプラ社
発売日:2022年12月7日
ページ数:320ページ
Audibleで聴けるか:◯
ノアのひとことメモ|読書の軸と視点
“月の光のように、静かに誰かを照らす物語。”
この本は、ラジオのように語られる「月」の話を通して、登場人物たちの人生がゆっくりとつながっていく連作短編集。
見えないところで人と人はつながっている――そんな静かな確信とやさしさを、あなたの心にもそっと置いてくれるはずです。
あらすじ(ネタバレなし)
ポッドキャスト番組「ツキない話」で、語り手タケトリ・オキナが届けるのは“月”にまつわる5つのエピソード。
竹林に囲まれた収録スタジオから、少し不思議で、どこか心に残る話が流れてくる。
語られる「月」の話に耳を傾けているうちに、聴いている誰かの人生にも、小さな変化が生まれていく。
ラジオのような静かなつながりと、人生の断片が重なりあう5つの物語。
心に残った言葉たち
「竹は地中で繋がっていて、竹林が一本の樹みたいなものなんです」
→ 目に見えないけれど、人もきっと、どこかでつながっている。

それってちょっと、地下で手をつないでるみたいだね。



誰かとつながっている感覚って、見えなくてもあたたかいよね。
「ただ誰かの力になりたいって、ひとりひとりのそういう気持ちが世の中を動かしているんだと思う」
→ 小さな親切や優しさが、めぐりめぐって誰かを救うこともある。



それがどの人なのかなんて、わかんなくたっていいんだ、きっと。



うん。気づかなくても、だれかを支えてることってあると思う。
「一度は消えたかと思われた月が、新しい時間を携えて育っていく。
その繰り返しの日々を、俺たちは共に生きていく。」
→ 満ち欠けを繰り返すように、人生にも波があっていい。



月って消えたわけじゃなくて、ちゃんとそこにいるんだよね。



わたしたちも、それぞれのペースで生きていけばいいんだね。
こんな人におすすめ
・自分の歩幅で前に進みたい人
・やさしさにふれて、深呼吸したい人
・静かな余韻の残る物語が好きな人
読後のかののことば
どの物語も派手な展開はなくて、でもだからこそ、やさしくじんわりと沁みてくる本でした。
「ただ、生きてるだけで精一杯なとき」って、誰にでもあると思う。
そんなときにこの本を読んだら、言葉や誰かのまなざしが、ふっと肩の力を抜かせてくれる気がします。
とくに印象に残ったのは「誰かの力になりたい」という言葉。
誰かを直接助けることはできなくても、その気持ちがどこかに届いてるかもしれないって思えたら、なんだかあたたかくなりますよね。
静かな夜に読むのにぴったりな一冊です。
疲れているときほど、読んでみてほしいなと思います。